|
万圣节快乐……
私は誰も気づかないほど小さくて、
目に見えないほど偉大なもの。
2071年、火星。ハロウィンを目前にしたクレーター都市アルバシティーの高速道路で、タンクローリーが爆発事故を起こした。タンクから漏れだした物質により被害は周囲3kmにも及び、500人以上の死傷者が出る大惨事となった。警察は、タンク内に何らかの薬品が入っていたと断定。事故後に原因不明の死を遂げる被害者たちの姿を目の当たりにし、正体不明のバイオ兵器を使用したテロの可能性を示唆する。そして、火星政府はこれを受け、犯人に3億ウーロンという巨額の懸賞金をかけると発表した。
相変わらずの貧乏状態が続いていたビバップ号クルーたちは、この史上最高額と言われる懸賞金に、当然目の色を変えた。しかも、別件で盗難クレジット·カードの使用情報からハッカー、リー·サムソンを追っていたフェイが、偶然この事件に遭遇し、犯人の姿をビデオに撮影していたのだった。荒れた映像は、犯人捜しの役に立ちそうには思えなかったが、大事故の中心にいたにも関わらず「犯人が死んでいない」ことを女の勘で確信したフェイは、追跡を開始。最初は乗り気ではなかったスパイクやジェット、エドもそれぞれ勝手に犯人捜しをはじめるのだった。
スパイクは「何でもある」と噂されるモロッカン·ストリートで毒物を特定しようと聞き込み。そこで出会った謎の人物ラシードから渡された壺の中には、事件の謎を解く鍵となる、小さなビー玉状のカプセルが入っていた。一方、ジェットは元警官のコネを活かしてISSPの内部情報を探り、ある製薬会社が事件の裏にあるらしいことを聞き出す。その頃、エドとフェイはビデオの画像を詳しく解析。すると画像の犯人には腕に彫られた入れ墨があることが判明し、その図柄から軍の関係者、ヴィンセントであることもわかった。しかし、記録によると彼は、この事件よりずっと以前に死亡している。こうして3人がつかんだ情報から事件の輪郭が見えだした。
すでに死んでいるはずの犯人。巨大な製薬会社に軍特殊部隊。そして、謎のビー玉…。最初は単なるテロ事件に見えたこのヤマの背後には、大きな影がうごめいていた。
疑惑の製薬会社チェリオスケミカルに単独潜入したスパイクは、企業のものとは思えない武装をした警備員に軍の介在を直感。しかし、すぐに発見され追われる身となる。彼の前に立ちはだかったエレクトラは、ジークンドーの使い手スパイクと互角に渡り合うほど訓練を受けた女性。そして彼女の腕にはヴィンセントと同じ入れ墨が。
一方、リーがヴィンセントと共謀しているのではと感づいたフェイとエドは、クレジット·カードの使用情報からリーを追い、さらに彼が残した遺留品の匂いをアインとエドが嗅いで追跡することで、とうとうふたりの隠れ家を発見する。しかし、単身そこへ乗り込んだフェイは、ヴィンセントの囚われの身となってしまう。
全員が勝手な動きをし、危険な事件にズブズブと深入りしていることを感じたジェットが「もうこんなチームではやってられねえ」といらだちを募らせる一方、スパイクは潜入時に仕込んだ盗聴器から軍の情報を引き出し、ヴィンセントの居場所を突き止める。モノレールに乗り込んだヴィンセントをスパイクが追い詰め、一騎打ちが始まる。
最初は優勢に思えたスパイクも、まるで不死身のように立ち上がるヴィンセントに対し劣勢に回る。ついには銃弾を撃ち込まれ、モノレールから突き落とされてしまうスパイク。遅れて現場に到着したエレクトラも、ヴィンセントのモノレール爆破を食い止めることはできなかった。しかし、彼女は知る。自分の身体にもヴィンセントと同じ秘密があることを…。再び多数の被害者が出たテロ現場。しかし、そこにヴィンセントの屍は発見されない。ヤツは、いったい何者なのか? なにが目的で、なぜ毒物をばらまきながら自分は平気なのか?
ハロウィンのざわめきが増す街に、ついに犯人からハッキングによる犯行予告らしき謎のメッセージが流れる。
ハッピィハロウィン、トリック·オア·トリート。
私は誰も気づかないほど小さくて、
目に見えないほど偉大なもの。
ヴィンセントが仕掛けた恐るべきトリックとは?
不死身のヴィンセントに挑むスパイクたちに勝算はあるのか?
そして、何も知らずハロウィンに浮かれる火星アルバシティー、
数百万人の運命は?! |
|